つま先立ちの恋
三人、トーテムポール状態の私たちを見ながら明人さんは穏やかに笑い、

「仲が良いね」

と言った。あ、なんか今頭の上で誰かのスイッチが入った音がする。とか思っていたら案の定。

「……かっこいい、、、!」

葵ちゃん、なんてわかりやすい子なんだろう。抱きしめたくなっちゃう。

だけど私は恥ずかしかった。だってこれは、この私たちの奇妙な状態はどう見ても隠れて見てましたって感じじゃない?どうせならもっと上手に隠れて見ろって感じじゃない?

それでも私は何事もなかったかのように惚けた顔をし、街路樹の裏からちゃんとした道に戻りつつ、

「こんにちは。こんな所でお会いするなんて、偶然ですね」

なんて精一杯かっこつけて、しれっと挨拶してみたりする。明人の真似をして。そうしたら明人さんは笑顔のまま、

「いま帰り?」

「はい。明日から冬休みです」

「そっか。楽しみだね」

明人さんは折り畳んだ眼鏡を内ポケットにしまいながら、私の前まで歩いて来る。葵ちゃんがバンバンと私の背中を叩いた。これは葵ちゃんのテンションが上がってる証拠だ。

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