つま先立ちの恋
店内はやっぱり高級な物ばかりが並んでいた。ドレス、靴、バック、アクセサリー、それぞれコーナーが設けられていてガラス製の棚に並んでいる。顔を近付けたら興奮した鼻息で曇りそうなくらい、ピカピカに磨かれていた。

葵ちゃんが好きそうな物ばっかりだな~、なんて店内を仰ぎ見ていたら、私の前に一人の女の人が現れた。

「孫灯歌様でいらっしゃいますね」

「あ、はい!」

その人の富士山のような形をした唇から私のフルネーム。思わずピシッと背筋を立たせる。

「ようこそ、孫様。明人様からお話は伺っております。私、金城と申します。本日の孫様のお手伝いをさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します」

「あ、どうも。こ、こちらこそ…」

あまりにも優雅で品のある一礼だった。まるでその人だけ時間の流れが違うみたいな。なんか、つられて頭を下げたものの、自分の動きがひどくコミカルに感じられた。

「あ、あの…岡田…明人さん、は?」

てか、フーは?

「明人様は奥でお着替え中でございます。ご準備が整い次第、お顔をお出しになるそうです」

「そですか…」

いるんなら顔出せや!…とは、言えない。こんな場所にいきなり放り込まれて、心細くて強く出られないのが本音。

「あ、じゃあ、」

フーはどこにいますか?
と、聞こうとしたら、ぞろぞろと奥から人が現れた。あっという間に取り囲まれる。

「……、へ?」

何、この展開は?

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