つま先立ちの恋
「時間だ。行きましょうか」

そう言って差しのべられた手と極上の笑み。警戒心を抱きながら、それでも私はその手に自分の手を重ねてしまった。これも魔法なんだろうか?


明人さんに黒いコートを着せてもらう。ボタンじゃなくてリボンで結ぶタイプのコートなんて初めて。しかも、明人さんに結んでもらった。

すぐ胸の下で何の躊躇いもなくリボンを結ぶ明人さんに、私の心臓が暴れてしょうがない。だって…あと少しで明人さんの手の甲が私の成長した胸にあたりそうなんだもん。

これ、意識しない方が無理だって!!

ヤーバーイー!!
フーにだってまだ触らせてあげてないのに!!
てか、なんでこんなにドキドキしてんだ、私はっ!!
私はフー一筋のはずなのにっ!!

ぐるぐる目を回して視界が真っ暗になってしまった私。今、自分が息を吸っているのか吐いているのかすらもわからなくたってきた。

そうしたら、


「大丈夫。フーもきっと喜んでくれるよ。」


真っ赤になった私の耳元で、誰かが囁いた。


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