つま先立ちの恋
◆◇◆

これでも一応、人の集まる場所ってヤツには慣れているつもりだった。

子どもの頃はお父さんと一緒にお父さんの仕事仲間の人たちが集まる場所によく連れて行ってもらったし、フーのおじいさんのお屋敷には毎年すごい人数が集まるし。だから今更、大人が集まる場所にビビッたりしない。


……はず、なんだけどね。


「ブラックシャンデリアか。珍しいな」

私の後ろに立つ明人さんが、私と同じ物を眺めながらそう言った。

2層の吹き抜けになっている高い天井には、高級感あふれるそのブラックシャンデリアってヤツがたくさんぶら下がっていた。足元もテーブルも黒を基調としているせいか室内はすごく大人の色が濃くて、オコサマご遠慮致しますって雰囲気が漂っている。

てゆーかさ、身分証の提示とか言われたらどうしよう。免許も保険証も生徒手帳も持っていない私は身分を証明できる物がない。私って何者になるわけ??


今更だけど私、本当にこんな所に来ちゃって大丈夫だったわけ?
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