つま先立ちの恋
フーは人形のように立ち尽くす私を一瞥した後、すぐに明人さんを睨んだ。

「お遊びがすぎるぞ」

「ですから、何のことです?」

「子どもを連れてくるような場所じゃない」

「だけど、冬彦サン。連れて歩くならそれなりの格好をさせろって言ったデショ。いつだったかな?」

フーの眉が硬直する。動揺に瞳が震えた。そんなフーの瞳を見据えるように明人さんは微笑むと、

「そんなに心配なら、目の届く所に置いておけばいいのに」

そう言って、私の肩の上に手を置いた。

「え…?」

冷たい手に触れられて我に返る。すっかり傍観者になってたけど、原因は私だったことを思い出す。明人さんを振り返り、慌ててフーの方を向く。

私にはそっちよりもこっちが大事だから。

「あ、あの、フー…」

ごめんなさい、と続けようとした私。だけど、まるでそれを遮るように明人さんが私の前に滑り込んだ。そしてフーにこっそりと何かを耳打ちする。

フーの表情がまた固まった。



…何?なんて言ったの?


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