つま先立ちの恋
よくわからないけど、確かにフーは私を見ても怒らなかった。そして私は考えた。フーの表情、目、言葉。私に向けられたフーの全部について。

それはまるで初めて私と出会ったような……


とか真剣に考えている私の両手には明人さんが持ってきてくれたお皿。そこにはおいしそうな料理が山盛りになっている。頭ではフーのことを考えながら与えられるそれらをただただ、私は口の中に放り込んでいた。時々、「うまっ!」とか、「うまっ!」とか叫んでいたと思う。そうしたら、


「いっぱい食べる女の子の顔っていいなぁ」

と、私の隣りに立つ明人さんが呟いた。

……とか言ってこの人、見てるの私じゃないし。人がたくさんいておしゃべりしてる方見てるし。
だから、言ってみる。

「あっち行きたいならどうぞ、行って来てください。あなただってここ、お仕事する場所なんでしょ?…一応」

「お気遣いどうも。本当に成長したね」

「あなた、私のことなんだと思ってるんですか?」

「孫灯歌。」

「…フルネームで呼び捨てしないでください」

ついでに、そのフーによく似ている横顔での流し目、やめてください。ドキドキしてご飯が逆流しそうになるから。

食べるスピードが自分でもわかるくらい落ちたのがわかった。

「素直だなぁ、本当に」

…だからあんたは、わかっててそれをやるのをやめてくれ!!

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