つま先立ちの恋
「こんなことして、何かあなたにいいことでもあるんですか?」

「いいこと…例えば?」

「え?た、例えば…て、う~ん…、ん?それを私が聞いてるんですけど!」

「あ、そっか。ごめん、ごめん」

くすくすと笑いながら、遠くを歩く男の子に向かって手を上げる明人さん。こっちにやって来たその蝶ネクタイの男の子に空になったお皿を渡す。

「何か飲む?」

「あ、はい」

と、今度は違う男の子を目で呼び、オレンジジュースを私にくれた。あまりにも自然な流れに私も抗えないまま身を委ねてしまう。身を委ねたつもりはないけどね!


この人、何なんだろう。ちょっと私の手には負えない感じがする。すごく今更だけど、危険な香りがプンプンする。


「あの、そもそもこの格好も…私、これどうしたらいいんですか?買い取りだったらお金ないんですけど。高校生ですよ、私」

「ああ、それね。心配いらないよ。あとで冬彦サンに請求するから」

「じょ、、、冗談でしょっっ!!」

ついにお金の問題で迷惑かけちゃうわけ、私ってば!!どうなのよ、それ!てか、それ知ってたらこんな格好断ってたっつーの。ウキウキしてる場合じゃないじゃん、私!

とか、言葉に出さずとも明人さんは私の顔からそれらを読み取ったらしく、

「よくわかったね。冗談だよ」

………遊ばれてる。完全に遊ばれてる!

うわぁぁぁぁあ~ん、悔しい!!

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