つま先立ちの恋
ヨタヨタ歩きながらフーについて会場を出た。さっき明人さんと一緒に歩いて来た道のりを今度はフーと帰る。その足取りは重い。てか、この沈黙が重い!


「そこで待て。いいな、動くなよ」

フーが一瞬だけ振り返って私に告げる。一人残された私は言葉もなく頷いて、一人で歩いて行くフーの背中を見送った。

言われた通り、一歩も動かないで待つ私。正しくは動けない私。まだ、明人さんが最後にかけた魔法の余韻で体も心も痺れているみたいだった。


…部屋を取ってあるって言ってた。

フーは着替えろって言った。

じゃあ、その後は?


ドクン、……―


一泊するならって言った。

フーは着替えろとしか言わなかった。

じゃあ、その後は??


ドクン、……―!


内なる問いかけに胸の内側が答える。

そこへフーが戻って来た。

ほらまた、私の内側が飛び上がるように跳ねる。



このまま、今日は………―!


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