東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~

そう言われて先生の顔を見るロム。

「お前、菊池に交際を断られたのに、しつこく追いかけ回しているようだな? お前はストーカーか?」

「す、ストーカーって…!?」

あたしは思わず声を上げていた。

まさか、キクチ・ヨーコが先生にチクった、ってコト?

彼女のほうを見ると、まるで他人事みたいに無表情を決め込んでいた。

「男なら綺麗さっぱり諦めるもんだ。それが男らしさってもんじゃないのか?」

「………」

「それなのに、なんだお前は? こともあろうにストーカー行為をはたらくなんて。ストーカーは立派な犯罪行為だぞ。分かってるのか、古内」

そのとき、あたしにはロムが、まるで裁判の被告席に立たされているように見えた。


「やだ…ストーカーだって……」

「キモイ……」

「やめなよ、そんなこと言ったら、怒って今度はアンタがストーカーされるよ……」

クラスのあちこちから、女子たちのヒソヒソ話が聞こえてくる。
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