東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
バンッ!!
両手で強く机を叩いて立ち上がるあたし。
「ロムはっ……古内くんはそんなつもりじゃないんですっ!」
みんなが一斉にあたしに注目する。
「そもそも、コレは古内くんと菊池さんとの間の問題でしょ? なんで先生に言い付けたりするのよっ」
お人形さんのように無表情なキクチ・ヨーコに向かってあたしが怒鳴る。
「じゃあ、コレがあたしとフルウチくんとの間の問題だって言うんなら、栗栖さんが横からクチをはさむっていうのもおかしいんじゃないかな?」
キクチ・ヨーコが座ったまま、声も荒げずに、あたしのほうを見ないで言う。あきらかにあたしをバカにした見下した態度だった。
「たしかに……たしかにそうかもしれないけど……でも、たとえ恋人になれなくても、あなたのことを痴漢から守ってあげたい、って思った古内くんのやさしい気持ちは理解してあげてもいいんじゃないかなっ?」
「相手が本気で自分を好きだと分かった瞬間、サァーッと気持ちが引いて、もうその相手とはいっしょにいたくない、って思うのは女なら誰にでもある感情でしょ?」
彼女にそう言われてあたしはハッとした。