東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
「起立。気をつけ。礼」

みんなが現2年C組の委員長・片岡くんの号令に従う中、あたしとロムだけがチカラなく、その場に立ち尽くしていた。

言いたいことだけ言って、なんのフォローもなく、早々に教室を去ってしまう帯刀先生。



「なんてデリカシーのない男なのっ…」

チーコが先生の背中に叫ぶ。きっとハラワタが煮えくり返る思いなんだろう。

あたしもチーコと同じ思いだった。


あたしがけしかけ、そしてロムのやったことが、結果的にキクチ・ヨーコに迷惑をかけたのは事実なのかもしれない。

けど、そのことで彼を注意したいなら、職員室とか進路指導室に呼ぶとかすればいいと思う。なんでみんなの前で言うワケ?

あたしはジャパニーズ武士道こと、帯刀先生のことがますますキライになった。

「アイ。あたし、先生に文句言ってきてやるねっ」

教室を飛び出していくチーコ。

そして他の生徒たちが次々と教室をあとにしても、ロムはまだ立ち尽くしたままだった。


「…!」
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