東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
さっき原宿で「給料日前だし、おねだりされてもカネなんてねー」なんて言ってたから、そんな彼の思いがけない発言にあたしはかなり驚いていた。


「クリスは今夜0時までの命なんだろ? 死ぬ前に、好きなアーティストのライブくらいは見せてやるのが人情ってヤツだろ♪」


「ありがとう」


思いがけないやさしさに、あったかいココアでも飲んだみたいに、心がじわっと、ぬくもっていくのを感じたあたし。

ロムも、チーコも、ユーも、それにパパや先生たちだって、毎日顔を合わせてるのに、みんなあたしに冷たくしたのに、ほんの何時間か前に出逢ったばかりのアシくんが、こんなにやさしくしてくれるなんて……。

みんなに冷たくされたぶん、ヒトの情けがココロに染みたのか、油断してると“うれし涙”があふれそうになっちゃうけど、そんなカッコ悪いとこ、彼の前では見せらんない。


だけど…、

ありがとう。

ホントにすごく嬉しいよ。



「あの、すいません」

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