東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
そのとき、ポケットの中のケータイがバイブで振動した。
ビィーン、ビィーン…
「電話、出なくていいのか?」
「いいの。もう親からの電話もかかってこないと思うし」
ビィーン、ビィーン…
「つーか、さっきも言ったけど俺、その電話のこと、ずっと気になってたんだけど、今日、いっしょにいるあいだ、何度も何度もかかってきてただろ? 本当に出なくていいのか? 親じゃねぇなら、もしかして友達とかからの電話じゃねぇのか?」
「言いたくないけど……あたし、友達いないから」
「クリスには誰からの電話か分かってんだろ? 出てやれよ。こう何度も何度も電話してくるなんて、よほどお前に伝えたいことがあるんだぜ、きっと」
「だから、出なくていいんだって!」
ちょっとイラッとしてくるあたし。
どーせ、自分の言うとおりにしなかったから、キクチ・ヨーコが怒って文句の電話をかけてきてるに決まってるし。