東京エトランゼ~通りすがりの恋物語~
彼女は休み時間だというのに、ポケットサイズの英語の問題集を解いていた。

「お勉強中のところ、申し訳ないけど、ちょっとだけ、あたしに時間もらえないかな?」

「…?」

露骨にイヤそうな顔をしてあたしを見る彼女。

「すぐ終わるから」

“ふぅ…”とため息をついてから「なんか用?」と言う彼女。

「ヨーコさんはさ、ロムのこと、どう想ってるの?」

「“いいひと”だと思ってる」

即答だった。

「そーだよね、ロムってやさしいから♪ だから毎日ヨーコさんの送り迎えだってしてるんだと思うし♪」

あとになって思うと、このときのあたしは“恋のキューピット”としての自分の役回りに気合が入りすぎて、ちょっと舞い上がっていたみたいで彼女がクチにした“いいひと”の真の意味を履き違えていたのかもしれない。

「言っとくけど、あたしが頼んでやらせてるわけじゃないよ」

「分かってるよ♪ 頼まれもしないのにやるんだから、やっぱロムはそーとーやさしいんだよ♪ あんなやさしいコはそうそういないと思う♪ うん、あたしが保証する♪」

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