【短編集】僕達の夏
マスターが穏やかに言った。
そう、私真面目に向き合ってる。

「連日で来たのはあんたくらいだわ」

リリーはそう言ってクッキーをその小さい口に頬張る。
マスターはにっこり笑ったままリリーと私におかわりの紅茶を出してくれた。

ある程度お腹がふくれたらスケッチブックを取り出してアイディアスケッチを始める。

リリーはお茶をして、マスターはグラスを拭いている。
そんな中で考え事をするのは不思議と楽しかった。











でも、やはり何か足りないのだ。

こう、「カチッ」と当て嵌まる何か。

元々「心」なんてある程度絞り込まないと形になんて出来ないと言う事は、利口じゃない私の頭でもなんとなくわかってはいるのだった。
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