【短編集】僕達の夏
「泰斗って前髪長いね。」
少し話した辺りで唐突に風理が言った。
現に僕の前髪は僕の目線を隠せるくらいに長い。
切るのが面倒臭いと言うのも理由の1つだったが主な理由は別にある。
真っ直ぐに世界を見ない為だ。
「……見たくないことが多いんだ。」
気が付くと、僕はそう漏らしていた。
今まで誰にも言った事のなかったことを、今日会ったばかりの人間に言ってしまったことに驚いて僕は視線を風理に向けた。
暗いフィルターの向こうで、風理はただ僕だけを見ていた。
その群青色の瞳と僕の視線がぶつかって、思わず俯いてから、
何故だか僕は続きを喋っていた。
「僕の双子の兄貴は、僕と同じ顔だけど、僕とは正反対で…」
少し話した辺りで唐突に風理が言った。
現に僕の前髪は僕の目線を隠せるくらいに長い。
切るのが面倒臭いと言うのも理由の1つだったが主な理由は別にある。
真っ直ぐに世界を見ない為だ。
「……見たくないことが多いんだ。」
気が付くと、僕はそう漏らしていた。
今まで誰にも言った事のなかったことを、今日会ったばかりの人間に言ってしまったことに驚いて僕は視線を風理に向けた。
暗いフィルターの向こうで、風理はただ僕だけを見ていた。
その群青色の瞳と僕の視線がぶつかって、思わず俯いてから、
何故だか僕は続きを喋っていた。
「僕の双子の兄貴は、僕と同じ顔だけど、僕とは正反対で…」