日直当番
「神崎さんは何線ですか?」


「中央本線だけど」


「それはまた奇遇ですね。僕もです」


私たちは同じ線、同じ電車に乗り込んだ。


中は意外と混んでいた。


びしょ濡れの私は他人のチクチクした視線をビシビシ感じてあちこち痛い。


ブレザーのポケットからハンカチを出して髪や制服を拭いてみたけど、ハンカチは絞れるくらいに濡れてしまった。


「大丈夫ですか?僕のを使ってください」


震度くんは肩に掛けていたショルダーバッグの中からタオルを取り出して私に差し出した。







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