『私も歩けばイケメンにあたる♪』
私は反省して、心の底からあやまった。
「ごめんなさい!
あの、でも、見たのは主に背中で、
えっと、そのちゃんとは見てなくて、
だから、大丈夫です。
あ、大丈夫っていうのは、
ちょっとおかしい言い方だけど、」
しどろもどろに説明すると、さっきとは、まったく違う、
彼のからかうような視線と目が合った。
「ば~か。」
にやり、
という音が聞こえそうなほど、
”にやり”
と笑って、彼はなおも私に近づいて来る。
無意識にあとずさる私は、階段の手前まで来ていた。
これ以上後ろには逃げられない。
「言葉であやまってもらっても意味ないから、
別の方法で誠意をみせてもらいたいもんだな。
たとえば、」
私の耳元に唇が寄せられる。
「体で返してもらうとか。」
囁かれた瞬間、私は、思わず右足を後ろにひいてしまった。
そこが階段だというのを忘れて。
バランスを崩し、
体が
がくん、
と後ろに傾く。
思わず目を瞑って、痛みを覚悟した。