鬼畜な俺様執事
顔を覆った私の手に触れて、そっと外していく。
私の真っ赤に火照った顔を見て、朔夜は微笑んだ。
そんな朔夜の顔もほんのり赤い。
それを見て、私の目からは涙が溢れて。
いろんな感情も、いろんな想いも、どんどん溢れていく。
それらを全て受け止めるように、朔夜は私を抱き締めた。
世界から、波の音も消え、風のうねりも消え、ただ互いの鼓動と息遣いだけが届いていた。
「愛してる」
朔夜が囁くように呟いたのは、私の想いを更にかきたてていく呪文の言葉。
「私も愛してる……」
幾度囁いても、この想いを伝えるには、全然足りない。