スピリチュアル
「失礼します」

職員室に行くと
私の担任と弟の担任、校長先生や他の先生が数人で居た。

「あのー何ですか?」
海が言う。

私は気付いた。

職員室に入った時の異様な空気。
集まってる先生が誰も笑ってない事。

海が言葉を言う前に
嫌な予感が物凄くした。


「今から蒼台(あおいだい)大学病院に行きなさい」


「え?父親の病院?なんで?」
海がケラケラと言う。

嫌な予感が的中する。




「田中の母親が・・・」









病院に着いた時、母は冷たくなっていた。
顔には切り傷やアザのようなもの。

まるで人形のように冷たい手。
顔も冷たい。


おかしいな。おかしいよね。

なんでココに居るんだろう?

なんでママがベットで寝てるんだろう?

パパの目が赤い。


いつも白くてビシっと決めてるパパ。

白衣に赤いのついてるよ?

「パパは綺麗好きだからね」
パパは少しでも汚いといつも怒った。

だから、家でだらしない姿を見ても
汚れてない小奇麗なだらしないパパだった。


確か、この時間はママが林檎パイを作る時間だよね?

だけど、どうして病院に居るの?

どうして死んだような人なの?



パパは医者だったから
幼い頃、一度だけ遺体を見せてくれた。

遺体と言ってもホルマリンというモノに漬けてあったやつ。

それが凄く恐ろしくて小さいながらに脳裏に焼きついて
夜も眠れなくて、随分の間、ママにしがみついて寝た。


その時、死んでた人にママそっくり。



何でだろう?
海が泣いたからかな?
私涙が出ない。

恐くてママを見れない。

手が冷たいママはママじゃないよ。

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