Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
青山さんは
特に何も言わない
ただ、立ったまま、海を見てる
……何か言って欲しくて
それを待った
一回、下を見て
そして
私の顔を見て、笑う
「…ただ話すの
かなり久しぶりだね」
「は、はい!」
「…ユカちゃん」
「…はい」
「ストロベリーピンクの皆と
ちゃんと話してみたらどうかな
一度」
「………」
「俺達は確かに
ユカちゃん達の 友達だけど…
一番相談しないといけない人達に
何も、話していないかもしれないよ」
「……
…そう言えば
そうかもしれない…です」
…全然関係ない話は
たくさんしてたけど
"これからどうする?"とか
そんな話は
意識的に避けていた気がする…
「…皆、進路違うんですよ
私とユリちゃんは
多分、地元に残るし…
シノは、なんかこないだ
模試で800点とか取ってるし」
青山さんは笑いながら驚いて
「凄いね
塔大でも目指してるの?」
「…どこ行くのか
教えてくれないんですよ
青山さんはどこなんですか?」
「明示大学
真木も、池上も 同じ」
「皆、地元は一緒なんですか?」
「俺と、あずるは横濱
真木が千葉で
池上と灰谷は東京
緑くんが博多で
赤池さんが 鳥取って言ってた」
「……皆、バラバラなんだ…」
「そうだね」
―――― そんな皆が
音楽がやりたいって事ひとつで
出会って、いろんな事があって
バラバラになって…
また一緒に、なったんだ
―――部屋の明かりの中で
皆が料理を取り分けてる
木の光と、シャンデリア
今はついていない暖炉
「あ」
青山さんが、声をあげた
私もその方角を見て「う」となる
『彼』が
『彼女』の後ろにまわって
肩から抱きついてる
『彼女』の髪に顔を埋めて
青山さんを見た
"…油断してんなよ"
そんな感じの顔
青山さんが険しい顔をして扉を開けると
『彼』はヒョイと離れて
笑いながら逃げた