Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


アニキが笑いながら
走って表まで出て行った二人を見送る

『彼女』も笑いながら

「灰谷くん、ヤキモチだなー
あれは」

「だねー」と池上さんまで。


アニキに促されて椅子に座るけど
よく、話がわかんない

…ヤキモチはこっちだってば。


「…今のうちに、僕も」

池上さんはそう言って
『彼女』の座る横に立って
"ハグ゙"って言い方がピッタリの
抱擁と、両頬へのキス

『アズルン〜』『イケヤン〜』と
言い合いながら
『彼女』もそれを返して
皆、凄い無邪気に、子供みたいに笑う

アニキはその傍に立って
二人一緒に、抱きしめた



…――― 仲間なんだなあ


突然彼女が
ポツリと呟く

「…やっぱり私 皆が、好きだ…」


暫くして
『彼』がまた入口から戻って来た

「あれ? 青山は?」

そう聞くアニキに、『彼』は少し
息を荒くしたまま答える


『…少し虐めたら、いじけた』

それを聞いて
アニキと池上さんが、爆笑した


『彼女』がパッと立って
扉の方に向いたんだけど
『彼』が

『… アズ
火 つけちゃったかもしれない
俺』

それを聞いて『彼女』は
少し、立ち止まっていた


アニキは
『彼女』の肩に手を置いて座らせる

『彼』もまた普通に
席についた

池上さんはすぐ横の台所に向かい
大きな鍋をテーブルの上に移す


「じゃ〜ん!」

トマトと豆がたくさん入った
ポークビーンズのスープ

「すごい美味しそう!!」

私が声をあげると
池上さんがニコニコ笑って

「イタリアの、スープおばさんって
呼ばれる人に、教わったんだ
地中海の塩、使ったよ」


…そんな事を話していたら
青山さんも戻って来た

――見ている分には
特に変わったトコは無い

池上さんも
青山さんの前に、スープを差し出す

ありがとう と
笑ってそのお皿を受け取り
皆、『頂きます!』と食事に


『彼』は一体、
何を言ったんだろう………

きっと私には
教えて貰えないんだろうけどさ……







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