Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
食卓の話題は
もっぱら、池上さんの旅行記
イタリア、アフガニスタン
フランス
スイス、モンゴル、インド
ニューヨークに、ロンドン
もっぱら家族の写真や
パーティーの場面とかを中心に
好きな様に、旅しまくったらしい
『彼』はそれを
目を輝かせて聞いていて
『彼女』はどうも
過去ニューヨークで、池上さんに
ちょくちょく会って居た様だ
お酒も進んで来て、卓上には
空き瓶や、ライムの搾った後の皮
――― 青山さんが初めて
お酒を飲んでいるのを見た
ウィスキー何杯目か判らないんだけど
顔色も様子も、全然変わらない
相変わらず煙草を吸いながら
池上さんのグラスに
氷を入れてあげてる
アニキも結構飲むんだけど、
タコみたいに顔が真っ赤だ
そして、笑い上戸らしい
池上さんは、輪をかけて陽気になる
――『彼女』は、
さっきまで笑って
話に参加していたのに
忽然と眠ってしまった
それを見てアニキが
「出たよ 某アニメのメガネ君」
皆、わらって
青山さんが、彼女を抱き抱えて
二階へ寝かせに行くのかと思ったけど
皆、何も言わないのに
ソファーを一個、丸々開けて
席を移動
『彼』が私の横に来る
気が付いたら、皆
青山さんに向いて、
横並びに座っていた
青山さんはそのソファーに、
彼女を抱いて移動すると
手摺りに背をあてて、体を延ばし
『彼女』を体の上に横たえて
その腰の辺りに片手を置き
「…何その閲覧席」と
こっちを向いて笑った
アニキは
ニーッと嬉しそうに笑い
池上さんはどこかから
タオルケットを持って来て
二人の上にかける
そのまま皆、話していたけど
『彼女』はホントにぐっすりと
俯せで、
青山さんの胸に手を置いて眠っていて……
私のが年下なのに
子供みたいだなあ…と思った