Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


夜中

池上さんは
ふらふらになりながら
アニキを伴って二階へあがる


残されたのは
ソファーに横になったままの青山さんと
眠ったままの『彼女』


『彼』は
部屋の隅にある
柔らかい光のランプをつけて
シャンデリアの明かりを消した


――ベランダを開くと
波の音





カーテンが揺れて、風が運ばれてくる

その中を
『彼』は裸足のまま外に出て
ロッキングチェアに座り
薄明るく光る、海を見た


『―…やっぱり、ギター欲しいね』と
少し後ろを振り向いて
青山さんに話し掛ける


青山さんは明かりの下
口の端で笑いながら
テーブルの上からグラスを取る

一気に飲んで
氷の残ったグラスを、
またテーブルの上に戻した



「…ししょーって
お酒飲んでも、全然変わらないんですね」

そう小声で言ったら


「ね …自分でも驚いたよ」


「……もしかして
お酒飲んだの、初めてなんですか?」

「…こんなに飲んだのは
初めてかな」


「……キライとか?」



「…そうだね」


――――― その声で
『彼女』が薄く、瞳を開く
そして

「……ここどこ…?」と
問った瞬間


青山さんが、

―――硬直した





< 189 / 430 >

この作品をシェア

pagetop