Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



海辺への階段を照らす
水銀柱の下

座った途端に
すぐに返信が来た


"起きてるよ!どうしたの?"



同時くらいに
軽い足音

振り返るとアズさんがいた



「ま、窓から 見えたから」

少し、息を荒げてる


―― やっぱり、歌
頼まなくてよかった

この人は頼んだら、
ホントに一晩中でも
付き合ってくれそうだもん…




「……アズさん、これ、見た?」


「どれ?」

私が差し出した写真を
少し体を屈めて、覗き込む


「…うん 部屋に
貼ってあった奴だね」



「…やっぱり、連絡は
してないの?」


「 うん 」

「向こうからは?」

「来てないよ」


「……やっぱり、青山さんの方が好き?

…もしかしたらアニキとか、
池上さんもだけど…」


「かなり嫌な奴発言してみると
…誰ともし、くっついても
私きっと、幸せになれるだろうね」


「うん なれると思う」



「……でも私が
歌を唄っている限り
皆は幸せになれないと思う


そして私は……
歌をやめない

―――昔だったら

あの時なら
……リュウジの胸に
自分からすぐに飛び込んでた…」


「…今は、ダメ、なの…?」



「Globalの 大将なんだ 私

――CD売り上げの九割が『Azurite』

でもここ一年は
"CheaーRuu"が伸びて来てる

あそこは
ライヴ、コンサートバンドだけど

ミチロウさん世代の
ロックバンド、ライヴバンドで
育って来た
大人の人達にも受けてるから
ライヴに来たそういう人達の
グッズ、物販の売り上げも
凄いのね


最近は若年層の
CD購買率が落ちて来てるから
『Azurite』が曲を出さないとなると…」


「Global …ヤバイ?」

「会社自体は
本社は外国だから、潰れる事はないよ

ただ…
音楽部門が縮小されて
新しくデビューする人達の宣伝費とか
諸々の事が、カットされちゃう」





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