Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



…少し、息を吐いた



「……新しくデビューする人の
そーいう宣伝費とか
諸々?って
どれ位かかるの…?」


「売り出し期間に
約、一億って聞いたよ 」


「…………えええええ?!」


「これはイチ押しの場合

大体、最近は年間に
この世界でデビューする人達は
二百人位らしくて

会社にもよるけど
二千万から一億が相場みたい

録音スタジオ、撮ってくれる人
CD作成、ジャケットの依頼、
コピーを考える人
発注する人…
それをCDショップに置いて貰う人
ラジオ曲に、宣伝してもらおうと
走り回る人
テレビへの出演を依頼する人



プロモーションビデオもそう

作成会社への依頼
有名な監督さんに撮って貰うなら
またそこにも色々生じて…

たくさんの人が関わって
やっとCDが出来て、世の中に流れて…


私がデビューするまで
面倒見てくれてた
松田さんて人が
『君は
Globalを背負って立つ人間に
なるだろうから
こういう事も知って置いて
悪くはない』って
教えてくれたんだよ」


「……松田さん…?」


「知ってる?」


「―――もしかして
…去年のプロモコンテストの時に居た
あの松田さん?!」

「うんうんうんうん!
赤いポロシャツの!」

「うはーー!!!
そんな偉い人だったのかあああ!!!」



「――……事件のあった野外ライヴは
当時松田さんが居た
レコード子会社が
これからデビューする新人さんの
宣伝込みで主催されてて

その時からずっと
私の事、…捜してくれてたんだって

クウヤとはそういう事情で
交流、あったみたい

―― 今、クウヤの所も
Globalに殆ど一本に絞ってくれてるし

……誰かが好き!
はいバイバイ。ってワケには
今は、行かないの 」



「……それでアズさんは
辛くない、の?

結婚しても
音楽やってる人、いっぱいいるよ?」


その問いにアズさんは
ニッコリ、笑った





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