Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
楽器を置いて
私達は二階へと上がる
泊まっている部屋の隣に
誘われて、中に入ると
――― 夏なのに毛皮のコート
金髪のボブに、紫の口紅
緑色のカラコン
一見すると、外人さんみたい
すごい綺麗な "男の人"
でも、かなりガッシリとした
青山さんに負けない位の長身の人が
野太い、だけど
甲高い声をあげた
「あらやだ!!
何この、殆ど手入れもしてない
女子高生軍団は!
…アズル!!
アンタ、アタシにこの子達を、
何とかしろって言うつもりなの?!
――……腕が鳴るじゃないの!!」
かなり失礼な
マシンガンみたいな話し方だったけど
最後の一言で、イメージが変わった
「あ、いっけな〜い!!
ご挨拶が遅れましたね。
…アタクシ、
『Azurite』の
専属スタイリストをやってます
"ナカマ イッケイ"です。
…このコとは、古い付き合いなのよ。
今日はたまたま、様子見に来てね」
「…は はぃ
よ、よろしくお願いします…」
「んで?どうしたいの?
王子からの話だと
オトコ共に、
ガツンと喰らわせてやりたいんでしょ?」
「え…あ、 えええ?!」
アズさんが、それに答える
「うん 女子高生四人のインパクトで
…午後、皆 泳ぐみたいだから
水着と髪型とかメイクで
ノーサツ?とかどうかなあって」
"ナカマさん"は
その発言に両手を拡げて
大きく、ため息
「―――アンタ、
やっぱり馬鹿ねえ 王子。
…そんなダイレクトより
夏は ユ・カ・タのが効果的よ。
みなさん、髪が結える長さだし
このマイクロダイナマイトちゃんは
ギリってトコだけど…
エクステで何とかしましょ
さ、鏡の前に集うのよ!!
十代の、肌だけが取り柄の娘達!!」
ムチを奮うマネをされて
その勢いに、何だか判らないまま
「はい!」と叫んで
鏡の前に向かった