Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



『クスン』と泣きまねをして
立ち直ったナカマさんは
「さて。続き行くわよ!」と
ドライヤーを持って叫んだ


シノは
みつ編みを解いて
髪を横に束ねて、結んだ髪型

ユリちゃんは
ちょっとくせっ毛な
肩までの柔らかい髪を
下の方で、内巻き

マキちゃんは
黒くて長い髪を、思い切りあげて
姐さんっぽくて、カッコイイ


窓際で、しゃがみながら
携帯を弄っていたアズさんが叫ぶ


「おお!!
車で少し行った所で
花火大会がある!!」


「え アズさん!いつ?!」

「もちろんこれから!夕方だよ!」


皆、顔を見合わせた


「…私、皆に話してくるよ!
――明日は帰る日だし
一緒に行こう!」


ドアを開けて
駆け出そうとしたアズさんを
ナカマさんは
「ちょっと待った!」と引き留める


「…王子はどうする気なのよ
まさかそのまんま行く気?!」


「え うん 」


「ふざけると怒るわよ!!
専属スタイリストが
主を前にして
そんな真似すると思ってるの?!
…皆に言ったら、戻って来なさいよ
わかった?!」


「…だって…
浴衣着たら走れないから」


「アンタ…
何の為に、雁首揃えて
あれだけ野郎が居る場所で走るのよ…

動く必要があったら
『取って』『助けて』で
済むの!
人に頼む事を覚えなさい!」

「…………」


アズさんはナカマさんに
驚異的なヘン顔をして
去って行った



「…び びっくりした…」

私がそう言うとナカマさんは


「…あのクセ、ホントに治らないのよ…
少しごめんなさいね?
クウヤに頼まないと…
ちゃんとこっちに戻って来る様に…」


携帯を取り出して、ボタンを押した







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