天使の涙(仮)
このときからだった。

鮮やかに色付いた世界が次第にくすんでいったのは。
何をする気にも、考えることも無意識のうちにしなくなった。
美都子のあの表情も私に起きたことも、誰かに問いただしたりしなかった。
いや、恐くて出来なかったんだ。

4人でいることは変わらなかったし、諒二は相変わらず私を愛してくれた。
だけど、無邪気に笑い合う諒二達を客観視するようになって、いつしかみんなと過ごす時間が苦痛になっていった。

それは、ある一つのことに気付いてしまったからだ。

今まではずっと気付けなかった。
この世界があまりにも完璧に作られたものだったから。


出来ることなら気付きたくなかった。
知らないままでいたかった。


だけど、最初からこの世界は壊される為に造られたものだったんだ。

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