天使の涙(仮)
それは、ある二つの視線だった。
一つは諒二に向けられていて、もう一つは私にだった。
始めは私の考え過ぎだと思った。
あのことがあってから、私は疑心暗鬼になっていたから。
だけど、美都子の見つめる先には必ず諒二がいた。
彼氏である瑶太を通り越して。
そして、その揺太の視線は私に向けられていた。
自惚れとかそんなんじゃない。
今までずっとそうだった。
でも、私はその視線の意味がずっとわからなかった。
だから考えないようにしてた。
その意味を知っちゃいけないと心の隅で思っていたのか、はたまた私には一生わからないことだと悟ったからなのか。
どっちにしたってわからなくていいことだと思った。
だっていつだって私の見つめる先はたった一人だけだ。
そして、見つめていて欲しいと願う相手もたった一人だけ。
諒二だけでいい。
いや、諒二じゃなくちゃ嫌だ。
それは彼にとってもそうであったと思う。
一人では身も心も凍えてしまいそうなあの夜までは。
あの悲しい雨の夜までは。