スリーズ・キーノート

「お兄ちゃん、いやっ、お兄ちゃん、いやあああ……。」
「よきじ、さん……。」

部屋の中央にある、電気コードからぶら下がる個体。首を絞める紐が長すぎるのか、膝は床に付いている。

嘘だ。
嘘だ。

夕方、俺がよきじさんに会いに来た時には汚れきっていた部屋は、驚く程綺麗になっていた。その中で動かなくなっている、よき、じ、さん……。
もう事切れているのは解っている。
だが俺は、突然の事に固まっているキキを通り越し、よきじさんを死へと追いやっただろう紐を緩めようとその体を支える。

それは何かが抜けたように、重かった。
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