スリーズ・キーノート
30





遺書は無かった。
死ぬ動機も俺達には解らない。


火葬場からもくもくと上がる黒煙を見ながら、俺とキキは立ち尽くしていた……。
青空に溶ける黒。よきじさんが溶けてゆくようだった。
葬儀はキキの両親がいる土地で行われ、俺も呼ばれた。ごめんなさいねえ、迷惑を掛けて……と泣きながら手を握られれば、俺は何も言えない。まだ腕は痛む。
キキ、その両親、俺だけの葬儀は、とても静かで、自殺なんかしたとは思えなかった。

……俺が、来なければ、よきじさんはこんな道を進まなかっただろうか。
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