感方恋薬-かんぽうこいやく-
あたしは意気消沈し、だるそうな表情で自宅玄関のドアを開けた。


同時に弟が、アンパンくわえて漫画本を広げながら廊下を横切った。



「育ち盛りだねぇ」


あたしは思わず呟いた。


すると弟はくわえて居たアンパンを右手に持ち替え


「あ、姉貴お帰り。そんで、あの薬、効かなかったぞ」


などと、のたまった…


あたしは、靴を脱ぐ姿勢のまま、何が聞こえたのか、一瞬理解出来なかった。


「え?」




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