感方恋薬-かんぽうこいやく-
あたしは、弟の言葉を聞いて反射的に返事をしてしまった…


弟は、自分の言葉が聞き取れなかったのかと思ったらしく、さっきの言葉を、再び繰り返す。


「いや、だから、朝、姉貴から貰った薬、効かなかったって」


「そ…そんな莫迦な…」


「そんなと言われても、効かなかったものは仕方ないじゃ無いか」


「あんた使い方間違ったんじゃ無いの?」


「いや、姉貴に言われた通りに、手首とうなじに付けて彼女の前を歩いて見たんだけど、なんも変化無かったぞ」


「あ…そぉ…効かなかった…」
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