感方恋薬-かんぽうこいやく-

第4節

「四角」は眼鏡を少しずらしながら生真面目な顔で巻物を見始めた。もし分からなければ、古文教師のプライドに関わるのだろう。


教師人生まっしぐらな人物である。


それを確認して、あたしはとことこと職員室を後にした。


さて、今日の学校行事は無事終了した。帰って惰眠でも貪ろうかと思いながら、あたしは一旦教室に戻った。


無理とは思うが、一応則子に一緒に帰ろうと声を掛けて見ようかと思ったからだ。


教室の前に辿り着き扉をがらっと開けると、なにやらだべっている数人の集団と、何故か幸の姿が有った。
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