感方恋薬-かんぽうこいやく-
幸は済まなそうにあたしに丁重過ぎる口調で話した。


幸、そういう態度は止めてくれ。


心臓を爪楊枝でちくちく刺されている様で、どうにも居心地が悪い。


何としてもこの話題は、この辺で終わりにしたかった。


「あ…そうだ、文化祭と言えば科学室の再建は順調なの」


 そう聞いた途端に幸のにこにこ顔が土砂降りの雨の様な表情に変わった。


「それが学校側の予算が足りないとかで、それに第一に爆発する様な危険な実験をする部は野放に出来ないとかで部の存続も危ういんですぅ」
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