感方恋薬-かんぽうこいやく-
そう言って、あたしはノートの切れっ端に材料と作る手順を書いて幸に渡した。


幸は神様でも拝む様に、あたしに感謝すると、ダダ降りだった涙も爽やかに晴れ上がり、虹でも掛るんじゃないかと思う表情に成っていた。


そうこうしているうちに、バスは、あたしが降りるバス停に到着し、あたしは幸に又明日と挨拶して一人バス停に降り立った。


バス停から自宅までは5分程度の距離だ。


あたしは鼻歌交じりに家路を歩いて居ると突然耳元で声が聞こえた。


「貴子、いかんぞ、そういう風に気軽に薬の作り方を教えてしまうのは」


あたしは、ギクッとして後ろを振り向いた。


そこには昼何で外にも関わらず爺がずいっと立って居た。
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