感方恋薬-かんぽうこいやく-

第9節

「呼ばずとも目に余れば出てくるわい」


爺は微妙にあたしから視線を外しながら答えた。


「そんな、目に余るなんて、酷い行動をした覚えなんかないよ」


「何を言うかな、弟を揺すって大枚巻き上げよう何て思っとったろうが」


あたしは、うっ、という感じで二の句が告げられなかった。


「よいか、これから呪術を学ぼうと言う者が、そんな事を考えてはいかん。この力は、もろ刃の剣じゃ。祈祷にも呪にも使う事が出来る」
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