感方恋薬-かんぽうこいやく-

第2節

「わ、分かった、分かりました」


あたしは、流石に懲りたと言う感じで爺に返事をした。


「よしよし、分かればそれで良い。これからは気を付けるのじゃぞ」


そう言う爺の声を聞いた後、奴は気配を消した。あたしは、椅子に深く腰を掛けると、机に突っ伏す様に倒れ込み大きく深呼吸をした。


         ★


「ただいま~」


あたしは自宅の居間に入ると、弟が居ると思い気の抜けた挨拶をした。しかし、弟の姿は其処には無かった。
< 209 / 327 >

この作品をシェア

pagetop