感方恋薬-かんぽうこいやく-
「そうじゃ、こんな話をしている場合では無かった。貴子、良く聞きなさい」


「ん?なぁに」


あたしは、相変わらず教科書とノートから視線を外さずに爺に答えた。


「おまえさんの学友に田中幸雄という者が居るじゃろう?」


「田中幸雄?田中…って、ああ、幸か」


普段、幸、幸って呼んでいるので、フルネームで言わて一瞬誰の事だか分らなかった。


「その田中じゃが、明日も会う事になろうが、注意するんじゃぞ」


「注意?なんで?」


あたしが、そう言った処で雷鳴が鋭く鳴り響いた。
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