感方恋薬-かんぽうこいやく-
「ふむ、どうやら、成功した様じゃ。薬の精製に」


「へぇ…」


其処まで聞いて、あたしは初めて爺に向かって椅子を回して振り返った。


「大したもんじゃない。流石、未来のマッドサイエンティストなだけの事は有るわ」


再び雷鳴が響く。


「貴子、事態は、そうのんびり出来る状態では無いぞ。変な災難が、おぬしに降りかかる相が出ておる」


「災難?幸が惚れ薬を作ると、なんであたしに災難が降りかかるの?」


「其れは今の処、良く分からん。ただ、そう言う目が出ただけで具体的な事は何も分からん」


「…な、なんか嫌だなぁ。あたし占いは都合が良い時しか信じないんだから」


「信じるか信じないかは別にして、兎に角気を付ける事じゃ良いな?」


爺は、それだけ言うと、あたしの前から姿を消した。
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