感方恋薬-かんぽうこいやく-
幸が窓の外をいきなり指さした。


あたしはそれにつられて、幸が指差す方向を思わず見てしまった。


同時に幸は、あたしの鼻の近くに薬瓶を持ってくる。


あたしは思わず鼻で呼吸する。


ぐにゃり…あたしの視界が暗転して直ぐに元に戻る。


同時に幸の顔を見ると、そこに立って居たのは、あたしの理想の人。


ああ、幸、いいえ、そんな呼び捨てなんかイケないわ。


幸雄様…ええ、そうよ其れでいいわ、あぁ、貴方を見つめて居るだけで、あたしのガラスのハートは粉々に罅割れてしまいそう。


この切ない胸の内を、どうやって貴方に伝えれば良いのかしら。
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