感方恋薬-かんぽうこいやく-

第8節

紀美代は、あたしの方に振り向くと、にやりと含みの有る微笑みを浮かべる。あたしは、紀美代がとんでもない小悪魔に見えた。


可愛い花には棘が有ると言う事だろうか。しかし、このまま見て居るだけでは紀美代のペースで話が進んでしまう。


あたしは幸の後を急いで追った。


「幸、今日はどうするの?」


「あ、貴子さん。今日は部活が終わったら、紀美代さんと帰る約束をしてしまった物で…」


「なんだ残念。今日は一緒に帰ろうと思ったのに、それじゃ仕方ないわね」


あたしは、この瞬間、小姑の気持ちが手に取る様に分かった。


この勝負が終わったら、あたしは、凄く嫌な女に成ってるのでは無いだろうか…あたしは
ふと、不安になった。
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