感方恋薬-かんぽうこいやく-
母親のテーブルを叩く音だった。
あたし達は一人黙々と食事を続ける母親を見ると二人揃って何事も無かった様に、ゆっくりと席に着き食事を再開した。
★
食事が終ってテレビを見て、そろそろ良い時間にもなったので入浴して自分の部屋に戻るとパジャマに着替えてベッドにごろんと横に成った。
寝転がって天井を見詰めながら昼間の出来事を思い出していた。
そして、用事が有ったら呼ぶ様にという爺の言葉も…
「呼べって…言われても、どうやって呼べば良いんだ?」