感方恋薬-かんぽうこいやく-
あたしはそれをまるで無視して弟に昨日作った薬の入った化粧水の瓶を見せた。


弟は口をゆすぐと、あたしから瓶を受け取り、まじまじと其れとあたしを交互に見た。


「なんだ?此れ?」


あたしは、自分でも感心する位、不敵な笑みを浮かべると、うやうやしく弟に告げた。


「これ?これはねぇ、あんたと、彼女を取り持つ薬よ」


弟は、何の事か分からず、益々あたしの顔を訝しげに見詰めた。
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