感方恋薬-かんぽうこいやく-
「姉貴…」


「なによ?」


「安心してくれ」


「だから、何を?」


「もう、騙されたと思ってるから」


あたしは、手近な凶器を探したが、適当な獲物が見つからなかったので、そこは、ぐっと堪える事にして、その代りに右手を広げて弟に向って差し出した。


弟は、その手を右手で握り返すとにこやかに握手会が始まった。
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