この胸いっぱいの愛を。
そんな私の異変にいち早く気づいたのは、祐兄だった。
いつもの朝と同じように私を起こしに来た祐兄は、ベッドの上に倒れている私を見つけると、真っ青な顔をして飛んできた。
その後騒ぎに乗じて将兄やお母さんも部屋にやってきたけど、お母さんは用事があり、将兄は朝から部活だから、今日1日祐兄が私の面倒を見ることに。
将兄は心配して何度も部屋を覗きに来たけど、部活が始まるギリギリの時間になって、渋々出掛けていった。
そんなこんなで数時間が経ち、今に至る訳だけど。
「将はお前のことになると、重度の心配性だよなー」
苦笑しながら言って、私の額に新しいタオルを乗せる祐兄。
ヒンヤリとした感触がとても気持ち良い。
「えー、そうかな?
家族だからってだけだよ」
わざと明るい声で言いながらも、気分が沈んでいくのを感じた。
額に乗ったタオルの冷たさが、心の奥深くまで浸透していくような錯覚に陥る。
――――――確かに将兄は、私をいつも気にかけてくれてる。
だけど、将兄には守るべき彼女がいるわけで………
―――――――――チクン。
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