砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドはしばらく眠る莉世の傍を離れず見守っていた。


私が悪かった。


お前を一人にするべきではなかったのに。


お前は私の心をかき乱す。





「殿下、」


寝室の入り口からアーメッドが言う。


「なんだ?」


「そろそろお休みくださいませ 明日は鷹狩りが入っておりますゆえ」


ここから半日ほど馬を走らせなければならない。



睡眠不足は明日に響く。



「姫様は朝まで目覚められません どうかお部屋でお休みくださいませ わたくしが責任を持って見守っていましょう」



近くにいたマハルが言う。



「わかった マハル 頼むぞ」



ラシッドは静かに莉世の寝室を出た。




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