砂漠の王と拾われ花嫁
「侍医を呼べ」


アーメッドに命令するとラシッドは莉世を抱きかかえ牢屋から出た。



「ラシッド様が気にする娘ではございません。その娘は私が」


急いで後を付いてくるアーメッドが言う。


「良い!お前は早く侍医を呼べ!」



ラシッドは莉世を自分の寝室に連れて行った。


ベッドに寝かせて娘を良く見れば白かったであろう肌は赤くなり痛々しく、唇はかさかさに乾ききって血がにじんでいた。


この小さな娘がそれでも美しいと思った。


ラシッドはその姿になぜか心を動かされた。



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