砂漠の王と拾われ花嫁
「殿下、あのような言い方では長老や大臣たちが余計に反発いたします」



廊下には誰もいなくアーメッドは大股で進むラシッドに小走りで追いつくと歩きながら言う。



「もともとこの召集はファティマを私の妃にさせようとする策略だったのだ ほっとけば良い」



部屋では怒りを見せていたラシッドは莉世の部屋へ向かうにつれ気分を納めていく。



苛立った気持ちで莉世に会いたくなかったからだ。



殿下はファティマ様を娶ればいいのに・・・・



アーメッドはラシッドの精悍な後姿を追いながら思う。



だが、殿下はあの妖艶なファティマ様よりも姫君にしか興味を示さない。



さて・・・どうしたものだろうか・・・。



自分の目から見ても姫君が后に相応しくない。



せめて左手が動くのであれば大臣や長老たちも納得せざるをえないだろうに・・・。



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